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いばらき
防災キャンペーン2021
水戸市の「いっせい防災訓練」で机の下に潜る児童たち=2月、同市東大野の市立上大野小
日頃の備え、被害最小限
 地震などの災害時に、被害を最小限にとどめるには、日頃からの備えが欠かせない。各自治体は防災訓練に取り組むほか、新型コロナウイルスとの「複合災害」に備えた避難所運営の訓練にも力を入れ、有効な間仕切りなど新型コロナ対策の備品購入も進む。県はコロナ対応を含む運営マニュアルを作成、市町村の円滑な対応を支援している。

 水戸市は2月4日、東日本大震災の教訓が風化するのを防ごうと、住民参加型の「いっせい防災訓練」を市内全域で実施した。今年で8回目。ラジオ放送や携帯電話に配信した緊急速報メールに合わせ、市内の小学校などで児童らが机の下に隠れるなど身を守るための行動を取った。
 市役所に「FMぱるるん」の特設スタジオを設置し、訓練を知らせる緊急速報メールを配信。防災行政無線や会員制交流サイト(SNS)を活用し、自宅や職場などでの訓練参加も呼び掛けた。
 各地で「複合災害」に対応する訓練も行われている。昨年7月は常陸大宮市、昨年10月は坂東市が県と合同で避難所開設などの訓練を実施。それぞれ、新型コロナ対策の確認を徹底した。
 坂東市の指定避難所の一つ市立七重小では、県や市の関係者らが体育館に、3密対策として段ボール製の間仕切りを組み立てて設置。一般避難者と要配慮者のスペースを隔てたほか、おむつ交換スペースを含めた個室を段ボールで9部屋製作した。また一般避難者同士の間隔を1メートルから1.5メートルずつ空けるなどして、密を回避した。
 訓練で、県防災・危機管理部の堀江英夫部長は「新型コロナなどの感染症が心配で避難所に行けないということがあってはならない。きちんと健康チェックやパーティションで区切るなど、安心して避難してもらえるような避難所の運営が必要になってくる」と話した。
 避難所の新型コロナ対策では、県内の各自治体で間仕切りや消毒液、マスク、非接触型体温計などの備蓄が進む。職員の効率的な配置のためサーモグラフィーカメラを購入した自治体もある。
 昨年9月、県は、各市町村で参考にしてもらうための「避難所運営マニュアル基本モデル」を改定。新型コロナ対策などを新たに追加した。また、市町村の担当者が参加する「災害対応勉強会」を実施。発災時の課題や好事例を共有し、県全体のレベルアップを図っている。
避難力強化訓練で間仕切りや個室を組み立てる坂東市職員ら=昨年10月、同市借宿の市立七重小
避難力強化訓練で避難者を検温する職員=昨年10月、坂東市内

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