2017年に完成した県央総合防災センター=水戸市内
県の備蓄 22万食 本年度中完了
■避難者想定最大25万人 県内4分の1用意 消毒液やマスク、テントも
県内の地震被害想定が2018年に見直されたのに伴い、県は震災前の2倍近い計22万食の備蓄を本年度中に完了する予定だ。3日間で最大約25万人の避難者を想定し、県内の物資需要量の4分の1を県が用意する計画。飽きがこない工夫やアレルギー対策にも取り組む。新型コロナウイルスの感染拡大で避難所での対策が重要となり、消毒液やマスク、間仕切りテントなどの資材も徐々に増やしている。
県は18年12月、県内で発生の可能性がある大規模地震の被害想定を1998年以来20年ぶりに更新した。最も多くの避難者を見積もるのは、震度6強の可能性がある本県沖から房総半島沖の地震で、ピーク時に約10万3千人、3日間で最大約25万人の避難を想定。この数字を基に、市町村の備蓄を補う備えを進めてきた。
東日本大震災前の公的備蓄は発災から2日間の1人6食分を目標とし、5食分を市町村、1食分を県が用意する配分だった。見直しに伴い、県は、3日間9食分の4分の1を備蓄目標量とした。県備蓄は本年度内に、震災前の12万食から22万食まで増える予定で、併せて水も22万リットル(1食につき1リットル)確保する。
発災から4日目以降は国からの支援物資や協定を結ぶスーパーなどからの流通備蓄の確保を想定。震災でも見られた渋滞や道路の寸断による物流のストップに備え、3日目まで公的備蓄でしのげるよう態勢を整えている。
備蓄食料の種類は、幅が広がっている。水やお湯を加えると食べられる「アルファ米」やクラッカー、缶入りパンが主流だったが、リゾットや加熱しなくてもおいしく食べられるというカレー・シチューなども増やし、飽きがこないよう工夫。特定原材料28品目が入っていないアレルギー対応のものも追加している。
このほか、毛布2万6250枚▽携帯トイレ21万7500回分▽トイレットペーパー1万1千個▽生理用品1万5千枚▽乳児・小児用おむつ1万2250枚▽大人用おむつ2450枚▽粉ミルク47キロ▽液体ミルク165リットル-などが本年度内に整う見込み。社会的ニーズを捉え、女性や子ども、高齢者らに配慮した構成となっている。
新型コロナウイルス対策で、感染症予防の備蓄も強化。マスクは現在6万1650枚あり、2倍程度の12万3千枚まで増やす予定だ。アルコール消毒液は500ミリリットル入り約800本を確保。ほかに、プライバシーの保護にも使える間仕切りテントを500張納入予定という。