液状化対策工事が完了し、きれいに整備された街並み。無電柱化も進む=潮来市日の出
液状化対策対策工事急ピッチ 地下水を排出 安心安全確保 潮来、鹿嶋、神栖3市
東日本大震災で大規模な液状化被害に見舞われた潮来、鹿嶋、神栖の3市では、国の復興交付金を活用して液状化対策工事が行われた。各市とも、2019年度に工事は完了し、震災以前よりも安全安心な地域に生まれ変わった。
県内で最も広範囲に液状化被害を受けたのは、潮来市・日の出地区だった。同地域は、皿状の地形の内浪逆浦(うちなさかうら)を干拓し、鹿島開発に伴い外浪逆浦の浚渫(しゅんせつ)砂で埋め立てして住宅開発した地域。浚渫砂が流動化しやすい細粒砂だったため、震災時に液状化が起きたとされている。
2011年3月11日、同地区では地震の揺れとともに液状化が起こり、住宅の多くが被災し、道路も波打って損壊。あちこちで泥水があふれ、電柱や信号が傾いた。国内で初めて地下水位低下工法による対策工事を約200ヘクタールで実施し、道路地表面~約3メートルに総延長約46キロに及ぶ排水管を埋設。新設の十番排水ポンプ場などを使って常陸利根川への地下水排出を始めた。地区全体の地下水位を段階的に下げ、地表面から3メートル程度まで低下させて地盤を強化した。その後の経過観察で、地下水位の安定が確認され、事業が完了した。
現在、同地区は地下水排出によって安心が確保され、メインストリートは被災の面影がほとんど見られない。被災直後、倒れた電柱が道路をふさいで消防車などの緊急車両が通れなくなったことなど踏まえ、無電柱化も進められたため、電柱や電線の少ない以前よりも美しい街並みとなった。潮来市都市建設課は「ポンプや排水管の維持管理、地下水位の観察を今後も続けていく」と話す。
県都市計画課によると、液状化対策事業を実施したのは、戸数で見ると潮来市が最も多く、同市日の出地区で3千戸。次いで、鹿嶋市が鹿島神宮駅周辺西と鉢形、平井東部の3地区の計436戸、神栖市が鰐川・堀割1~2丁目と堀割3丁目の2地区の計255戸。
地域ごとの液状化の危険度を示す「液状化ハザードマップ」は、同課によると、県内では土浦、ひたちなか、潮来、神栖、河内、五霞、利根の7市町で作成、公表している。