茨城新聞創刊130周年
いばらき
防災キャンペーン2021
東日本大震災の液状化現象で浮き上がった歩道=2011年3月19日、潮来市
東日本大震災 10年前の記憶 生々しく
 間もなく東日本大震災の発生から10年を迎える。地震と津波による甚大な被害からの復旧・復興が進み、経験を生かした防災・減災の対策が講じられている。県内の歴史は、さまざまな災害の歴史であり、そのたびに大きな犠牲を払いながらも再起してきた。地震・津波、感染症、風水害-。今月から5回にわたって県内などで起きた過去の災害を振り返り、今後想定される災害にどう備えるかを考える。

 「県内震度6強 4人死亡」。2011年3月12日付の本紙1面。大きな見出しが躍った。マグニチュード(M)9.0を観測し、死者・行方不明者計2万2千人超の犠牲をもたらした東日本大震災の発生から、3月11日で10年が経過する。地震や津波による被害を受けた本県は、津波対策の防潮堤整備やインフラの復旧が着実に進む一方で、東京電力福島第1原発事故の影響はいまだに色濃く残る。
 県内の犠牲者は死者・行方不明者25人、災害関連死42人で、負傷者も714人確認。住宅被害は全半壊2万7648棟、一部損壊19万1581棟、浸水は床上75棟、床下624棟に及んだ(いずれも昨年12月1日時点)。原発事故による福島県から県内への避難者は1月1日現在で2925人に上り、一部出荷制限は特用林産物や内水面の魚介類、野生鳥獣の肉類など計8品目で続いている。
 「町が沈んだ」「放心状態」。震災発生2日後の13日付本紙には沿岸地域住民の悲嘆の声が並んだ。高さ最大約4メートルの津波に襲われた大洗町では「大洗港の底まで見えた」と大きな引き波を証言する人も。陸に打ち上げられ傾いた漁船の写真が、被害の深刻さを物語った。14日付では北茨城市の親子3人が津波にのまれ、夫が亡くなった痛ましい被害、岡倉天心設計の登録有形文化財「六角堂」の流失を報じた。
 福島第1原発では、13日に建屋が爆発。大量の放射能が県内外に飛散し、16日付紙面では「放射線量 北茨城で平常(の)100倍」の見出しで報じた。また、県内数カ所で大規模な液状化による被害が発生。「膝下まで泥に漬かりながら家に入った」と、潮来市日の出地区の被災状況を伝えた。水道管の損傷が激しく、140本もの電柱が傾いた。液状化による水路や揚排水機場、農地などの被害は全県で2千カ所以上におよんだ。
 また、今年2月13日午後11時7分には、福島県などで震度6強、本県10市町村で震度5弱を観測する地震があり、県内では3人が搬送され、最大約7万2100軒が一時停電した。東日本大震災の記憶の継承とともに次の災害への備えが求められている。
東日本大震災の強い揺れで倒壊した神社の鳥居=2011年3月11日、水戸市
日本大震災の津波で岸壁に打ち上げられた漁船=2011年3月12日、大洗町

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